『幻のマッカラン』 2003.5.19 at 神楽坂 Fingal
1. The Macallan 12yo/43%/the Bi-centenary of The French Revolution
2. Macallan-Glenlivet 25yo/40%/Gordon & MacPhail/for Italy
3. The Macallan 1937/70 proof (40%)/Gordon & MacPhail
4. Macallan-Glenlivet 1939/37yo/40%/Gordon & MacPhail/for Italy
5. Macallan-Glenlivet 1937/36yo/43%/Gordon & MacPhail;/for Italy
6. Macallan-Glenlivet 22yo/4/5 quart 86 proof/Row & Company (Distillers) ltd./for USA
 1.はトップノートからすでに力強さがみなぎっており、このあとの5つと同じ土俵で比べることは無理だと直感致しました。シェリーのニュアンスは強くなく、その分マッカランのベースの部分の実力を再認識することができます。アロマは濃縮されたフルーツのようで複雑、ボディは厚く、長い余韻がいつまでも続きます。

 2.は40度ではありますが、液面の下がりもなく、コンデションは抜群です。期待が大きすぎたせいか、私にはやや物足りなく感じられました。1の後に飲むと、まるでタイムトンネルでワープしてしまったかのような古びた香りが鼻をくすぐります。しかしグラスを回しているうちに、そのひねた香りも薄らいできます。柑橘類を連想させる果実香の心地よさが印象的です。

 3.はトップノートに軽い異臭が感じられました。溶剤系との声もありましたが、私はセルロイドかソフビのような古い玩具をイメージ致しました。ボディはかろうじて残していますが、グラスに注がれた後は足早に酸化が進んでしまいます。

 4.は柔らかいのですが、バランスのよいボディを残しており、私は高く評価致しました。アタックは弱いのですが、その分咽越しが心地よく、ぐびぐび飲めてしまう感じです。本来のコンディションではないのでしょうが、これもまたオールド・ボトルの醍醐味なのではないでしょうか。

 5.は4.に似ていますが、もう少しスパイシーで力強く仕上がっています。会場では5.をナンバーワンに推す声が多く聞かれました。美味しいことは間違いありませんが、やや面白みに欠けるかなという印象が残りました。

 6.には正直驚かされましたね。と申しますのもコンディションが悪ければ、すでにお酢になっていてもおかしくないほど古いボトルだからです。色が濃く、ドライーフルーツのようなアクのある甘さががあります。やや癖のあるフィニッシュには賛否の別れるところでしょうが、このマッカランにこれ以上を求めるのは酷かもしれません。

 いろいろな要素を合わせ考え、あえて順位をつけるなら、6. 1. 4. 5. 2. 3. となりますかね。

 なお6.をボトリングしたロー社なる業者については、よく分かりません。実は現在でもロー社というウイスキー会社は存在し、主にフランスのインターマルシェというスーパーマーケット向けにウイスキーを造っているそうです。もし同一の会社だとすれば、無名であるにもかかわらず大変な老舗だということになりますね。ロー社の製品には、グレンファインというヴァッテドや、グレン・クリナンというブレンデッドがあります。なおオールド・グレンクリナンという有名なヴァッテド・モルトがありますが、これはグレンファイン・ディスティラリー社の製品で、ロー社のウイスキーとは別物です。余談ですがマイケル・ジャクソンが『世界のウイスキー』の中で、(オールド・)グレンクリナンはストラスコノン、グレンリーヴンに次いで、3番目に有名なヴァッテド・モルトだなんてことを書いていますね。