Dailuaine
濃厚な果実フレーバー、「ダルユーイン」

ダルユーインは知名度は低いのですが、実力ではビッグネームにも引けを取らないスペイサイドモルトです。フルーティで濃厚なアロマと、ふくよかで力強いフレーバーが持ち味です。ボディが厚く、長く暖かい余韻が楽しめるので、秀逸な食後酒になりますね。また酒質の骨格がしっかりしているので、シェリー樽との相性がいい点もダルユーインの特徴の一つです。

ダルユーインのモルトは、ブレンデッドウイスキー・ジョニーウォーカーのメイン原酒のひとつとしてしても知られています。特にジョニ黒では、タリスカーとともに重要なキーモルトになっていますね。ジョニーウォーカー黒ラベルの芳醇でふくよかな風味は、ダルユーインのキャラクターに因るところが大きいのです。

Dailuaine(ダルユーイン)は、ゲール語で「緑の谷」という意味です。蒸留所があるキャロン村はベンリネス山とスペイ川とに挟まれた場所に位置しますが、そこはまさに蒸留所名どおりの森林に囲まれた窪地になっています。

蒸留所は1852年に創業され、その後順調に生産を伸ばしていきました。ダルユーインの運営がうまく軌道に乗ったのは、スペイ川の対岸に開通したストラススペイ鉄道の存在が大きかったといわれています。川に架かる橋を通じて敷地内に引込線を引き、自前の蒸気機関車でウイスキーや原料の輸送を行っていました。1967年に廃線となってしまいましたが、線路跡はスペイサイド・ウェイという名の遊歩道として現在利用されています。また当時の機関車は、アバフェルディ蒸留所で大事に保存されています。

ダルユーイン蒸留所の生産量は、年間279万リットルを誇ります。オーナーのディアジオ社は、現在スコットランドで29もの蒸留所を運営していますが、その中でダルユーインよりも生産量の多い蒸留所は、ローズアイル、ダフタウン、グレンダラン、カル・イラ、クラインリシュ、そしてグレン・オードの6つしかありません。

にもかかわらずダルユーインの知名度が低いのは、ディアジオ社がこの蒸留所のシングルモルトの販売に力を入れていないからなのです。オフィシャルのスタンダードボトルは、かつては「花と動物」シリーズの16年ががリリースされていましたが、現在は残念ながらスタンダードボトルは製造されていません。ですが16年物はまだ市場に出回っていますので、購入することは可能です。


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