Craigellachie
蜂蜜とナッツの風味、「クレイゲラキ」

クレイゲラキは蜂蜜を思わせる甘い香りと、クリーミーでナッティなテクスチャーが心地いいスペイサイドモルトです。ボディはやや軽めですがバランスがよく、食前食後を問わず楽しめるシングルモルトです。また長期熟成させたクレイゲラキには、熟した果実のようなアロマが感じられることもしばしばあります。

クレイゲラキ蒸留所は、ブレンデッドウイスキーのホワイトホースの原酒確保のために、1891年に建造されました。ホワイトホースのメイン原酒は、他にもラガヴーリンやグレン・エルギン等がありますが、中でも核になるのがこのクレイゲラキです。

創業者の名はピーター・マッキーといい、スコッチ史上の有名人を挙げるときには必ず上位に登場する人物です。次々と生み出される斬新なアイディアと、そのエネルギッシュな働きぶりで、彼の知名度は徐々に高まっていきました。ホワイトホースというブランドをつくったのもピーター・マッキーです。彼はウイスキー産業に貢献した功績が称えられ、後にナイトの称号を授与されました。

蒸留所があるのは、蒸留所名と同じグレイゲラキ村。この地名はカタカナ表記ですとクレイゲラヒーと綴られるのが一般的ですが、ウイスキー評論家の故マイケル・ジャクソンさんは、Craigellachieの末尾は「キ」と短く発音すると著書に書いています。地理的にグレイゲラキ村は、ウイスキー産業の盛んな4つの町、ローゼス、キース、ダフタウン、アベラワーに囲まれていて、まさにスペイサイド地方の中心地と呼べる場所です。近くにはウイスキーの母なる川、スペイ川が流れていて、支流のフィディック川との分岐点があります。

蒸留所の近くでは通称テルフォード橋と呼ばれる、美しいアーチ型の橋がスペイ川にかかっています。この橋はアーチ橋設計のパイオニアとして名高いトーマス・テルフォードによって設計され、1814年に完成しました。グレイゲラキのテルフォード橋は、彼の設計した現存する橋の中では、最古のものだといわれていますね。

グレイゲラキ蒸留所のライセンスを所有しているジョン・デュワーズ&サンズ社は、かつてはディアジオ社の系列会社でしたが、1998年からはバカルディ社の傘下に入りました。現在オフィシャルボトルは、ディアジオ社の頃(花と動物シリーズ)と同じ熟成年数の14年物が発売されています。


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