Braeval
超マイナーなシーバス原酒、「ブレイヴァル」

ブレイヴァルは、ブレンデッドスコッチのシーバスリーガルやパスポートなどの原酒としても知られる、スペイサイドモルトです。蒸留所名は超マイナーなのですが、その実力はなかなかのものです。ボディは軽めですが芯がしっかりとしていて、良質なウイスキーに仕上がっています。特にカスクストレングスのブレイヴァルの中には、メジャーな銘柄に負けない飲みごたえのものも見受けられますね。

ブレイヴァル蒸留所は、ブレンデッドウイスキーへの原酒供給を主目的に1973年にシーグラム社によって建造されました。創業から約20年間はブレイズ・オブ・グレンリヴェットの名で操業されていましたが、これは有名なザ・グレンリヴェットにあやかって付けられた名前だそうです。しかし、ザ・グレンリヴェット蒸留所が傘下に加わり、両蒸留所の混同を避けるために、1994年にはブレイヴァルと改名されています。

ブレイヴァル蒸留所と同じような目的で、シーグラム社は1975年にはアルタベーン蒸留所をオープンさせています。どちらもスペイサイドモルトなのですが、そのキャラクターはある意味対照的で興味深いですね。恐らく意図的にそうなるようにしているのでしょう。また両蒸留所のユニークな点は、ウェアハウスをもっていないことです。蒸留された原酒は樽詰めされたあと、キースの集中熟成庫に運ばれてそこで寝かされます。なお、同じ環境で樽を呼吸させることはウイスキーの没個性化にも繋がりますし、ブレンデッド用の原酒とはいえちょっとさみしい気もしますね。

不景気のあおりを受け、シーグラム社は2001年に酒類事業から撤退します。系列の多くの蒸留所はペルノ・リカール社に買収されましたが、ブレイヴァルもその中に含まれていました。翌年の2002年には余剰在庫の整理のために一旦操業を休止しますが、2008年には生産を再開しています。

ブレイヴァルは標高は350メートルの場所にあり、スコットランドではもっとも高いところにある蒸留所としても知られています。そこは人里離れた山奥で、地元の人々もめったに立ち入らない場所だとか。ちなみにブレイヴァルが建設されるまで、もっとも高い蒸留所は標高326メートルのダルウィニーでした。

オフィシャルボトルは一切発売されていませんが、ボトラーズものがいくつか出回っているので入手は可能です。なかなか見つからないシングルモルトですので、見かけたらぜひ試してみてください。


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